フェニーチェ歌劇場友の会
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ヴェネツィアからの便り (9月26日号)

フェニーチェ友の会ジャパンのホームページをご覧の皆様はじめまして。フェニーチェ合唱団に所属してはや13年になります小澤美鈴です。
フェニーチェ友の会の会長、副会長であられる新井さんと栗林さんにこの夏お会いした時に、「小澤さん、ホームページになにか書きませんか?」「作文レベルでよければ」といった会話がありました。フェニーチェに並々ならぬ情熱を注いで下さるお二人に、私も恐縮しておりましたし、なにかお役に立ちたいと思っておりましたので、これから毎月1回くらいフェニーチェで何が起こっているか、登場するアーティストについて、劇場内のゴシップ等などご報告したいとおもいます。それと、意外に日本の皆様にヴェネツィアというところが知られていないようですので、フェニーチェがあるヴェネツィアという街についても折々触れてみたいとおもいます。
さて今9月です。9月という月は夏休みが終わったばかりで、普通劇場が本格的に動き出す11月、12月への準備期間なんですが今年はいつになくもりだくさんのプログラムでした。メインは何といってもサン・マルコ広場での“エンニオ・モリコーネコンサート”。オスカー賞受賞のマエストロ・モリコーネをお迎えしての2晩のコンサートで9000人がピアッツァを埋め尽くしました。夜空に浮かび上がるサン・マルコの姿は夢のように美しく、モリコーネの音楽と不思議にマッチしていました。
このコンサートは有名なヴァネツィアのカジノがスポンサーだったんですが、興業としても大成功、これからもピアッツァを使ったこの種のイヴェントがいろいろ計画されるようです。ちなみにモリコーネが作曲した莫大な量の映画音楽の中でやはり一番有名なのはセルジョ・レオーネ監督のマカロニ・ウェスタン映画ですが、このマカロニ・ウェスタンというのは日本独特の名称で、こちらではスパゲッティ・ウェスタンといいます。いつ、どこで、誰によってスパゲッティがマカロニに差し替えられたのか興味が沸きますがスパゲッティ・ウェスタンでは私達日本人にはウェスタンのコメディかギャグみたいに聞こえてしまい、日本人の友達と大笑いしてしまいました。
さて9月の後半は現代オペラの委嘱作品「Signor Goldoni」です。フェニーチェは伝統的に現代音楽とのつながりが深い劇場です。世界的に有名な現代芸術展であるビエンナーレが開かれるヴェネツィアでありますし、20世紀のヨーロッパ音楽界を代表する作曲家ルイージ・ノーノはヴェネツィア生まれ、ストラヴィンスキーの「The Rake`s Progress (放蕩者の遍歴) 」はフェニーチェで初演されています。ちなみにノーノ夫人はアーノルド・シェーンベルクの娘ヌーリアさんで、今もヴェネツィア本島の南側に細長く伸びるジュデッカという島に住んでおられ、時々ヴァポレット(水上バス)に乗られているところをお見かけすることがあります。
フェニーチェは現代音楽と特別縁が深い、と書きましたが、実際フェニーチェの聴衆にどういう風に受け入れられているかは「?」です。たとえばフェニーチェで上演されるすべてのオペラのゲネ・プロ(舞台稽古)は一般公開され、チケットが1枚3ユーロということもあって大人気ですが今回の「Signor Goldoni」のゲネはガラガラでした。今から100年、200年先にルカ・モスカ(Signor Goldoniの作曲家、地元のコンセルヴァトーリオ(音楽大学)の先生でもあります。プローヴァ(稽古)にショートパンツとサンダル履きで現れるライトなオジサン!)の名前がストラヴィンスキーやシェーンベルクの横に小さくてもいいから並んでくれることを祈ります。

(「Signor Goldoni」より)
Foto (c) Michele Crosera
 

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