フェニーチェ歌劇場友の会
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12月21日号

日本のフェニーチェ・ファンの皆様、年末でお忙しいことと存じます。

ようやく「トゥーランドット」も終わって「ニューイヤー・コンサート」まで短い冬休みです。

「トゥーランドット」はフェニーチェの首脳陣がかなり力を入れていた演目なので、無事終わってみんなホッとしているところです。なんといっても今回の“目玉”は中国人指揮者が中国を舞台とするオペラを振ることにあったわけですが、当初メイン指揮者だった「ユー・ロン」氏が健康上の理由(?)で降板、セコンドだった「ザン・ジェミン」さんが9公演全部を指揮しました。まだ若いし本格的なオペラの指揮は初めてということでしたが、なかなか立派でした。彼女は来年の北京オリンピックとタイアップしたオペラ公演を指揮することも決定しており、フェニーチェのオーケストラも参加します。

さて「トゥーランドット」ですがDenis Kriefの斬新な舞台が意外に好評でした。この舞台は昨年東京サントリーホールのホールオペラとして上演されたのでご覧になられた方もいらっしゃることと思います。そのときKrief氏の演出助手をなさった菊池裕美子さんが、今回のフェニーチェでもKrief氏の直々の要請で参加されています。「演出助手」というのは守備範囲がとても広い大変な仕事ですが、菊池さんは頭もカンも素晴らしい上に、とってもチャーミングな方で、キリキリした現場の空気を和らげることのできる特別な才能を持っていられます。Krief氏も手放しで褒められていました。

さて歌手陣ですが、毎晩大喝采だったのがなんといってもワルター・フラッカーロのカラフです。若いころはタイル職人だったそうですが、いまやこの手のレパートリーの第一人者でしょう。高音の響が金属的だ、という批評もありますが、彼の場合抜群の安定度でカバーしています。マリア・ルイージャ・ボルシ(リウ)、プッチーニが作曲中にイメージしたリウは彼女だったんじゃないかと思われるほどリウにぴったりの声のソプラノだと私は思いましたが、舞台の上で聞くのと客席で聞くのとでは少しギャップがあるようです。

さてタイトル・ロールのトゥーランドット、ジョヴァンナ・カゾッラ、彼女のレパートリーというとなんと言ってもサントゥッツァ、今回のトゥーランドットもヴェリズモ風アクセントが強い感じがしました。とはいっても60歳を超えてトゥーランドットを楽々歌える(私にはそう聞こえました)というのはすごいことだと思います。

フェニーチェはニューイヤー・コンサートの練習が始まる27日まで冬休みになります。12月は日本の師走と同じように、こちらもクリスマスめがけて大変慌ただしい月です。まず8日が“受胎告知の日”で祝日です。一般家庭ではこの日にクリスマスの飾りつけをします。クリスマス・ツリーというのは北ヨーロッパ・アメリカ風のものであるらしくこちらではまず“プレゼーぺ”をつくります。プレゼーぺというのはキリスト誕生のシーンのことで、聖母マリアとジュゼッペ、厩を暖めるロバと牛を配置して24日の12時まで神の子キリストを待ちます。最近はクリスマス・ツリーもだいぶ普及してきましたが、少し前まではプレゼーぺだけ飾っている家庭も多かったのです。イタリアはカトリックの国ですからクリスマス(イタリア語ではナターレ)はかなり真剣なイヴェントのはずですが、宗教色がだんだん薄れて、派手なプレゼントの交換やバカ騒ぎのパーティーなんかがナターレだと勘違いしている輩が多くて困るのは世界中どこも変わりがないようです。また12月8日は本格的なスキー・シーズンの始まる日でもあります。イタリアはフランス、スイスと並んでアルペン・スキーのメッカですので、スキー人口もかなりなものです。8日前後を連休にしてこの近くではコルティーナ・ダンペッツォあたりに出かけるのがステイタスです。また12月7日はご存知の方も多いかと思いますが、ミラノの守護聖人聖アンブロージョの日でスカラのシーズン・オープニングです。今年は「トリスタンとイゾルデ」でしたね。私はイゾルデを歌ったワルトロイド・マイヤーの大ファンです。もう20年くらい前になりますが彼女のブリュンヒルデ(パルシファル)、耳に残っています。そのときの指揮が亡きジュゼッペ・シノーポリでした。

さて、もちろんこちらでもクリスマス・イヴは盛大です。ふつう家族で集まってCENONE(晩餐、とでも訳すのかな?)をします。ウチも子どもたちがまだまだこういう集まりが大好きな年齢なので、今年は主人の兄の家におよばれです。次の25日は私の家に一族集まって“PRANZO DI NATARE”です。今年は20人ぐらい集まりそうで、きっと難民キャンプの給食支給、みたいな騒ぎになることでしょう!クリスマスや新年を祝うテーブルに欠かせない一品が“レンティッキエ”です。辞書をみると“レンズまめ”となっていて、日本にもあるのかどうかわかりませんが、これを食べるとお金がザクザク入ってくる、と言われています。豆の形が平べったくて丸いのでお金に似ているからでしょう。毎年クリスマスも新年も必ず食べていますがご利益のほうは“?”です。
では皆様、BUON NATALE!!!!!
ヴェネツィアのお正月風景レポートはクリスマスの後ご報告いたします。

(c) Michele Crosera

 

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